けんちゃんくんさんのWeb日記
2015/4/19

第1回ペパボテックカンファレンスで見積りと計画づくりについて発表しました

(当日の様子や、なぜこのようなイベントが開催されたのかはCTOのエントリ 第1回ペパボテックカンファレンスを開催しました #pbtech - delirious thoughts をご覧ください。)

ペパボテックカンファレンスという企画が立ち上がったとき、最近ずっとスピリチュアルなことばっかりやってるし、テッキーなことはまだ発表できるほど成果だせてないし、という思いがあって登壇を保留していました。(普段外に出ない人に発表してほしいというコンセプトもあり)

ただ、社内でも「見積りと計画づくり」について何度か説明しており、参考文献にあげたような書籍を全部読まなくても概要を理解できるような資料の必要性を感じていたので、自分の考えていることを技術という切り口で言語化してみるといいかもしれないと思い、今回発表させていただきました。

現実社会の厳しさと戦っている皆さんのヒントになれば幸いです。

さて、実はスライドからは時間の都合上いくつか省いた箇所がありまして折角なので補足しておきます。

規模を見積もり期間を導出するという基本の話

相対規模見積りのポイントが時間見積りになってしまっている場合があります。

本人達がそれを把握している場合はまだよいのですが、もし無意識に見積りをするときに時間換算しているようでしたら、それは無駄なので思いきって(理想|現実)時間で見積もるのがよいのではないでしょうか。

規模見積りは「規模を見積もって期間を導出する」ことで、見積りや計画作りにかかるコストを軽減しつつ、だいたいあってる計画をたてるのに非常に役立ちます。それはスライド中にあるような、不確定要素の多い中で、必要十分な見積りと計画づくりをするためのテクニックの一つです。

もし時間見積りで妥当な時間を見積れるような成熟したチーム、プロダクトであれば、時間の見積りをするのがよいのではないでしょうか。

ベロシティの考え方と、初期の想定ベロシティの合意について

発表では、突然ベロシティという言葉を使ってしまって「しまったな」と思っていたのでここで簡単に補足します。

ベロシティとは、上で話したような「規模を見積もって期間を導出する」ために必要な、1イテレーション(スプリント)あたりに消化するポイント数です。

ベロシティは扱いが非常に難しい物と感じていて、多くの場合これがコミットメントになってしまい、開発チームが身動きがとれなくなってしまうことがあります。

そこで一つのアイデアとして考えているのは

  • POやマネージャにはベロシティは安定させるのが大事という説明をする
    • ベロシティが安定しないと計画がたてられない
  • 開発チームにはどうやったらベロシティが上がるのか考えてもらう
    • 課題を見つけ解決していく姿勢

という二枚舌作戦です。

AEP読書会でも、ベロシティの扱いについてディスカッションがあったのですが、その際も「ベロシティはチームのパワーの限界近くまでは上がるが、無限に上昇するものではない」という話がでていました。

このあたりを上手く説明できると、お互いやりやすいと思うので、みなさんどうやっているのか知見を共有しましょう!

また、もう一つ問題になるのが、開発に入る前、入った直後の想定ベロシティをどう置くかという問題です。

これもまたよく揉めるところだと感じていて、ハッピーケースとしては「ベロシティは2-4イテレーション程度見てから決めましょう」という感じにできるとよいのですが、1週間イテレーションだとしても半月から1ヶ月かかるので、その間リリース計画は立てられませんとなる困りますよね。

チームメンバーがお互いの能力をよく知っていれば、大体の想定ベロシティを考えることはできるのですが、そういうケースばかりでもないので難しいです。ここも知見を共有しましょう!

2種類のバッファ

バッファには

  • フィーチャバッファ
  • スケジュールバッファ

の2種類があります。フィーチャバッファについては、優先順位付けができればそれで終わりなので、ここでは、スケジュールバッファについて考えます。

基本的には、スケジュールバッファはPOや事業マネージャが用意するべきで、個々のストーリーに詰まなくてもいいような関係作りが大事ではないと考えています。

もちろん、技術的難易度が高いフィーチャについて、合意の上でバッファを取るのは大切ですが、そういう例外を除いて基本方針としてはフィーチャの見積りにバッファを積まないほうが、スケジュールを考える上では有用ではないでしょうか。

見積りや計画づくりがいらない組織

当然見積りや計画づくりはタダじゃないので、目的を持って行おうというのは発表でも述べましたし、資料にも含まれています。

では、見積りや計画づくりが不要なチームや組織は存在するのでしょうか?

私は見たことないですが、どこかにはあるんじゃないかなとは思います。もしそういう組織を知ってる方がいらっしゃいましたらぜひ教えてください!

おわりに

というわけで、みなさん充実した見積りと計画づくりを!

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